KAZIKI-CGC’s blog

車両について色々と語ります

【WoT】上手い人には低Tierを好く権利は無いのか

 色々考えふけっていて面白かったので書きます

 今回のテーマはずばり

 

 "初心者狩り"(以下"初狩")

 

 

 …なんでまた急にって感じはありますが、先に何を詳しく解説するかの前にいきさつを説明しましょう。

 

 注;ここでは「低Tier」「高Tier」という言葉を非常に多く使いますが、ここではそれぞれ「Tier5以下」「Tier8~10」とします

 


 

 

 発端は先日、小隊を組んでた時の事である。

 各自乗りたい戦車を回していて、小隊員1が最愛のTier5戦車を出したのでそれに追従してTier5を出した。

 自分が出したのは遥か昔から計600戦以上乗ってる愛車だった。小隊員2は3MoEチャレンジ中の戦車を出した。

 

 勿論、出した理由は「愛車だから・優等目指してる戦車だから」だけである。

 

 マッチングしたのはTier5が7枚・Tier4が8枚の戦場。それぞれが己の戦車の能力を発揮し、圧倒的ともいえる勝利を勝ち得た。上位をがっつり取り完全にキャリーした形であり、小隊員全員が殆ど満足できた結果と言えよう。

 戦闘終了後、敵のKe-Hoが有名なコントリビューターの配信者であることに気づく。お?これ敵側どうなってたか見れるのでは?と察し、Twitterを見てみたらやはり配信していたので小隊終了後にアーカイブを覗きに行ってみた。

 

 

 そこで言われてたのが

 

 

 

「仕方ないね、これ完全に初狩だからね」

 

 

 

 !?!????????????????

 待て待て待て待て待て。確かに結果を見ればぐぅの音も出ないほどの初狩りにはなっていたのは間違いない。だが我々にはその気は一切なかった

 ついでにこの方、それなりに上手いプレイヤーなのである。アーカイブ見ても「あぁ丁寧に戦うなー」って感じの立ち回りをしており、同じく初狩りと言われかねない戦果が出ていてもおかしくなかった。てか出かけてた。

 

 

 いや、これは正直どうでもいい

 結果的に互いに初狩り感が出たのは確かだが、自分がそれを意識したのはそういう単語を聞いてからである。それに最終的に出てた戦果のことを話したいんじゃない。配信者を責めたい訳でもない、寧ろ反応としては滅茶苦茶よくあるパターンだと思う。

 てかこの方に限らず、上手い人が低Tier帯に出るだけで初狩りだ初狩りだという人は後を絶たない。

 

 

 問題は低Tier帯に上手い人が居た時、特に負けた時に"初狩"の一言で全てを決めつけるのは違うのではないか

 そもそも初狩りって初心者に対してそんなに莫大な影響を及ぼしているのか

という事である。

 

 

 自分は"初狩り"という単語を悪意のある単語として見ている。

 確かに「勝率稼ぎに低Tier行こうぜ」って画策するプレイヤーは一定数居るだろう。低Tierでパディングすることに喜びを感じるのかもしれないが、一部の人からしてみれば嘲笑の的である。
 自分はそれに良し悪しは無いと思っているが、基本的に良いものとは思われていないのは確かだ。

 

 じゃあその気がなく、低Tierをゲームの一部として楽しみたいプレイヤーは全員そうなのか?

 

 んなわけないだろ

 

 そもそも知っての通り、低Tier帯と高Tier帯との間には明確に車両性能に差がある。装填速度やHPに対する単発火力の幅、砲拡散が特に顕著。

 それに車両性能のデザインも根本的に違う。

 高Tier帯が「全体的に取り回しが良くなり、付加的(+α的)に明確な強みを持つ」傾向があるのに対し、低Tier帯は「明確な強みがあるが、根本的な取り回しに欠点を抱えている」戦車が多い。

 この順序の差は歴然であり、「自身の強みを活かすプレイ」と「欠点を補うプレイ」の比率がTierによって全く変わってくる。Tier10はだいぶ先鋭化するので話は変わるが、Tier8~9は大体前者のみで舞えるのに対してTier5以下は後者を最重要視せねばならない事が多い。

 しかも低Tier帯の欠点は殆どが共通して抱えている普遍的なものである

 

 このような車両特性の差から、そもそも車両を操るうえでの意識がまるで違う。そこを面白いかと思えるかが低Tier・高Tierの好みが分かれる点であると思う。

 

 

 でだ。自分や小隊員1・2のような人たちはこのような低Tier車両に魅入られ、それを愛車として、優等を目指す目標として扱ってきた訳だ。

 

 

 そういうプレイヤーと対峙した時、上手い人全員が初狩りであると決めつけるのはあまりにも傲慢ではなかろうか?


 そういうプレイヤーに負かされた時、初狩という単語を自分の不備や敵のしてきた事を考えないための免罪符として使っているのではなかろうか?

 

 だから低Tier車両を使う事に抑圧的になる人が多いのでは?

 

 

 という考えに至った訳である。

 前置きがクソ長かったが、これを解明するために以下の事を考えた。今回はそれを書き連ねようと思う。

 

 

  • 根本的な"初狩り"についての究明

  • 初心者や下手な人が多い集団に上手い人が入るとどうなるか?

  • 逆に上手い人の多い集団に下手な人が入るとどうなるか?

  • マッチングから一定層を排除することによる利益性、それを訴える正当性について

 

 

…今回も馬鹿長くなることが安易に予想されるがお付き合い願いたい。

 


 

1.根本的な"初狩り行為"についての究明


1-1 . WoTでの初狩りってなに


 まず初狩りとは何かを確認しよう。

 オンラインゲームにおける初狩りとは、PSを積んだ人が初心者の居るレート帯で暴れまくることを指す。

 しかしWoTのランダム戦のマッチングは個人のレートが一切考慮されていないため、どのTierであろうが上手い人・下手な人がそれぞれどちらに配置されるかは文字通り完全にランダムである。
 そのため、WoTでの初狩りは「初心者の多いTier帯で出撃する」ことで行われる。

 

 

 次に、Tierを問わず「50%を超えた分の勝率はどこから来ているか」を確認したい。
 (厳密には引き分けが2%で発生すると仮定した場合、約48%を超えた分、になる)
 (しかし分かりづらくなるため、ここでは平均値が 勝50% : 負50% : 引0% になる世界線とする)

 

 めったに勝敗を操作できない腕の人は、常に敵味方の質・車両の種類などマッチングによって勝率が上下させられる。だが利敵行為(開幕ショボチンや無意味な芋)をせず常に平均程度に稼げている場合、戦闘数をこなすと限りなく勝率50%に近づくハズである。

 それよりも稼げてない場合、自分のせいで敗北を引っ張ってきている可能性が高くなる。例えばこの引き分けの存在しない世界線勝率45%の人の場合、本来勝てたハズの戦闘のうち10%を自分のせいで負けに導いていることになる


 逆に上手い人は自分以下の腕の敵を高確率で負かせられるため、その分敵に負けを押し付け、自分のチームに勝利を引き寄せることが出来る。上記の条件と同じ場合、例えば勝率60%の人は本来負けるハズの戦闘のうち20%を自分の力で勝ちに導いていることになる。

 (なんで勝率40%と60%じゃないの?って思うかもしれないが、40%の人は60%の人よりも圧倒的に少ない印象があるのでこういう表現にしてます)

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WoTにおける勝率の偏差。見づらいけどこういう事である

60%の人は45%の人2人分を殴り勝ってると思っていい

 「運ゲーで勝てる/負ける領域」は平均的に稼げてる場合の勝敗を指す。
 この中に「この分勝ち/負けに導いている」が含まれているが、割合がはっきりしない上わかりにくくなったため、それは50%超過分のみを表示している

 

 

 これらを総合すると、当然と言えば当然だが「上手い人は"自分以下の腕の人"の勝率を吸っている」という構図が完成する。

 

 初狩りしたい人はこの構図を低Tier帯で求めている

 

 高Tier帯では腕の差で勝ち切りにくいため、相対的に差が大きく勝ちやすい低Tier帯で勝率やWN8を稼ぐ。これがWoTで初狩りしたい人が狙っている事であると思う。

 これが自分の想像しうる、初狩りしたい人がどういう考えで低Tier帯に居るかである。

 

 

1-2 . 低Tierも好きな上手い人


 さて、この項では初狩りとか考えておらず、車両が好きで低Tier車両に乗ってる自分のような人間の話になる。

 

 

 上記した図に"どうやっても勝てない領域"というのが三割ほどあるのを見て何となく察せるとは思うが、どんだけ上手い人が低Tier帯に乗っても100%勝てる訳ではない

 15vs15という比較的多人数のチーム戦である都合上、Tier5戦場であろうがユニカムがいれば必ず勝てるという訳ではない。例え1vs5で勝利できたとしても、他が14vs10でボロ負けしたら流石に飲み込まれて敗北を喫することになる。

 滅茶苦茶上手い人3人で初狩りする場合だと100%に近づくハズだが、普通のユニカム一人ではTier4~5で出たとしてもせいぜい60~70%勝つのがやっとである。(Tier3以下は流石に全然乗らないのでわからん、でもこんなもんじゃないかしら)

 

 

 何が言いたいかっていうと、高Tier帯で一定以上の腕があるならあえて初狩りする必要が全くないってことである。
 高Tier帯で勝率65%出ても、低Tier帯で出るのは良くて70%弱なのでここに大した差はないのだ。

 じゃあなんで初狩りしたいでもない上手い人が低Tier帯にいるのか、という疑問への返答は一つのみ。

 

 

 その戦車が好きなんだよ

 

 

 このゲームやってきたら誰にでも愛車はあるだろう?
 その中に低Tierの戦車があったとしても、その人にとっては腕を上げた後もなお乗り続けたいと思えるような奴だったとしたら………誰が否定できようか?

 

 そういう意味で"低Tierに上手い人が居るだけでそいつが初狩りであると決めつけるのはあまりにも傲慢ではなかろうか"と思った次第なのである

 

 

1-3 . ver1.9以降の低Tier帯について


 少し前、Tier6以下の車両の耐久面に大幅な調整が入ったことはまだ記憶に新しい事だと思う。

 ここまで書いたことは今も昔も全く変わっていないが、つい最近この調整が入ったことにより、多くの戦車が一方的に敵を殴り殺す事が難しくなったという話は絶対に外せない。なので今から言及したいと思う。

 

 

 さて。Ver 1.9により増加した耐久の倍率はTierごとに比較的纏まっている。

 Tier4はおよそ1.5~1.6倍、Tier5はおよそ1.3倍、TIer6はおよそ1.12倍に増加した。

 これにより、低Tier帯での戦闘時間/射撃機会が向上し、ゲームパフォーマンスが大きく上昇した。このアップデートは個人的に中々良かったと思う。(弾の増加分だけ調整ガッバガバだったのは許さねぇからな)

 

 だが、これによりダメージを取るうえで優位を取りやすい特性取りにくい特性が新たに自分の中で定義化された。
 この優位を取りにくい特性をもつ戦車が大きく増えたため、そのような車両で初狩りをするのは難度が上がったと言える。

 

 

 

 先に優位を取りやすい特性について言及しよう。こちらでは初狩りの難度は寧ろ下がったともいえる。
 おおまかな特性は以下の通り。なおここでは自走砲に関しては言及しない。

 

 

・高耐久
 一定の倍率で耐久が上がったため、元々耐久の多いHTは更にタフになった

・高単発火力
 ヒット&アウェイで消費できる耐久が上がり、殴り合いで撃てる回数が増え、HP上昇分以上に効率よくダメージを吐けるようになった

・重装甲
 一定よりも貫通が低い敵を蹂躙出来た奴は今もなお装甲が健在なうえ、榴弾を受けられる回数も増えたことにより特定の車両に非常に強くなった

 

 要するに、HTが軒並み微強化されたといって過言ではない。なおTier4HT
 HTにとって"耐久力"という不可逆的なリソースが増えたのは非常に大きな恩恵であり、局地的な殴り合いが更にしやすくなったといえる。

 だが現状溢れんばかりのHTが居る訳ではないし、HTはHT同士で殴り合う事が多いのでこうなると優位は相殺しあうことになる。
 一方、単発や貫通が低い戦車はいざHTを倒そうとなると絶大な不利を強いられる事が多い。そういう意味でHTは優位を取りやすい特性を持ったといえる。

 

 

 

 では一方で優位を取りにくい特性はどういう物があるのか。

 

 

・低単発
 敵を撃破しきるまでにかかる時間が増えたことで露出時間も大きく増え、自身の耐久増加分の割に合わない事が増えた。またヒット&アウェイは一発だけしか入れられないとリスクの割に雀の涙のダメージにしかならない

・低耐久
 一定の倍率で耐久が上がったため、元々少なかった奴の増加量も少ない。これによりTier内での耐久力の格差が大きくなった

・紙装甲(高機動であれば緩和される)
 10榴や12榴のHEやHEATでぶち抜かれるとTier5であっても最悪2発で消し飛ぶ。これ投げられると耐久上がった所で受けられる弾の数は大して変わってねぇ!(絶望)

・低貫通
 R.I.P  Matilda IV (貫通がない場合横取らないと一方的に殴られ放題になるのだが、溶かすのに時間がかかるようになったため早々に殺しきれず対策されるケースが増える)

 


 これらは非常に多くの低TIer戦車に当てはまってしまう。
 これの影響をモロに食らってるのがTIer4の低単発な連中とHTの役割を担うMTたち、それに駆逐戦車全般だ。

 例えば自分の愛車であるT-80は中々しんどい。というのも、自身の耐久が540まで増加したのだが、単発が55しかないこいつだと同格LT・MTを倒すだけでも最低10発必要なのである。
 試オイやChurchill Iを倒すとなると最低17発必要である。しかも貫通は110止まり^q^
 なお、装填棒が詰んだ状態のKe-Ho(単発75)と発射速度はほぼ同一である。あっ……(察し)

 その他だと、ただでさえ弱かったM5 StuartやSentinel、耐久が上がったとはいえB1あたりも滅茶苦茶きついのではなかろうか?

 
 HTの役割を担うMT、Tier5のMatilda兄弟やM4A3E2なども非常に厳しい戦いを強いられる。
 アプデ前までM4A3E2は強い部類だったが、重戦車とのHP格差・単発火力格差が凄まじいことになってしまい、自身の過去最悪の三優等チャレンジを更新するほどの苦行さになってしまった。

 

 駆逐戦車も同様である。「初動は狙撃し、中盤以降で前に出て勝ちに持っていく」のが仕事なのに、中盤以降に前に出て撃ち合おうとすると"敵を溶かせない割にこちらは瞬溶けする"という地獄のような仕様になってしまった。

 

 

 とまぁ1.9到来以来、低Tierの強弱関係がかなりきっぱりした。特に優位を取りにくい特性を持つ戦車が非常に増えたため、HT以外での初狩りの難度が大きく上がったと言える。
 またHTはHTと殴り合うため、本当に初狩りの力を発揮できるのは殴り勝った後となる。そういう都合上、やはり蹂躙できる機会は減った。

 

 そして最も大きいのが敵の耐久の増加である。
 たとえ横に回って撃ちまくったとしても、倒しきるまでに必要な時間が増えたため相手がどんだけ下手でも反撃を食らってしまうケースが非常に増えた

 ノーリスクで敵を取り切るのが非常に難しくなり、自身の上がった分の耐久は以前以上に簡単に減っていくと思っていい。

 

 これらの理由から、初狩初狩りと言ってる間に気が付けばその難易度が大幅に上がっていたという何とも本末転倒な事になっていたのである。

 初狩りを狙って大量に稼ぐにはかなり腕が要求されるようになったため、初狩りだという批判は現状通じにくくなっているという事をいまここで周知しておく。

 

 

 

 ここまでが根本的な"初狩り行為"についての自分なりの究明である。

 

 また、あくまで初狩りが及ぼす影響は少ないとは言っているが、いずれにせよ狙って初狩りすることは褒められるような行為ではない事をここで一応補足しておく。

 

 この時点でとんでもない長さになっているが、次に行くとしよう。(なおまだ半分)

 

 


2. 初心者や下手な人が多い集団に上手い人が入るとどうなるか?

 

 さて、ここからは少しアプローチを変えて、上手い人が初心者の中に紛れるとどういう事が起きるかを考えてみたいと思う。

 初狩りが現れてゲーム荒らしていくと、初心者や下手な人はわけもわからず死んだりして困ってしまう。少なくともその戦闘中はそうなってしまうだろう。バトロワ系ゲームは特にこれが起きやすい?

 

 

 では、WoTにおいても初狩りを働く奴が現れる事により、初心者や下手な人に悪影響をもたらすのだろうか?

 

 

 初狩りの問題視される点として「初心者が一方的に倒されてしまう」という点があげられる。確かにこれはゲームを継続するハードルを高くしかねないため一理ある。

 

 だが、このゲームの特性を考慮すると影響はそこまででもない、と自分は考える

 

 WoTは比較的大人数のPvP、しかも耐久が不可逆的なリソースである。

 リスポーンがないため何も知らず延々と15分間ぶち殺されまくるというシチュエーションはありえない。と、なると

 

 「初狩りにより倒されるのは敵チームの15人であり、初狩りを味方につけた14人はキャリーしてくれる人が居る分寧ろ得なのでは?」

 「上手い稼ぎ方を見せられる分、立ち回りを勉強しようとしてる人へのヒントになる可能性があるのでは?」

 

 まである。我ながら利己的な正当化っぽさがにじみ出ている気がするが、それでもそれなりには的を得ているとは思いたい。

 

 

 理由のほうだが…シミュレーションするとわかりやすいかもしれない。

 

 ここにWN8が500以下の人を29人集め、1人ユニカムを混ぜ、同じメンツ(チーム・MAPはランダム)でランダム戦をさせるとしよう。
 それを100回ほど回す。この時引き分けは発生せず、プレイヤーは成長しないものとする。

 するとどうなるか?

 勿論ユニカムが居るチームのほうが勝率は上がる。先述した話を元としてユニカムがいるチームが丁度70%勝ったと仮定すると、当然紛れ込んだユニカムの勝率は70%になる。

 

 だが引き分け無しのこの条件だと平均勝率は50%になる。では超過した20%はどこから出てきたか?

 

 

 答えは察しの通り、ユニカムはそれ以外の29人から平均的に勝率を計20%分吸い取っているのだ。

 

 聞こえは悪いし周囲に重大な影響を与えているようにも見えるが、意外にも残り29人の勝率はそこまで下がらない。

 この場合、ユニカム以外の29人の勝率は平均およそ49.3%になる。1戦あたり勝率に1%も関与している状況を考えれば、100戦平均で約0,7%吸われる程度なら限りなく誤差に近い

 

 そもそも、勝率70%出る初狩りにこんな毎度のように当たる事は普通のランダム戦ではまずありえないし、滅茶苦茶ランダム戦を回してこの手の初狩りに100回当たったとしても、それでも吸われうる勝率は0.7%なのだ。

 

 それを考慮すると、引き分けで30人全員が負け扱いになるほうが影響としてはデカいといえる。2%の確立で引き分けになるのであれば、どんだけ戦闘こなそうが全体の平均勝率は平均48.0%まで吸われる計算になる。

 それを考慮すると初狩りによるそれ以外のメンツの勝率への影響は限りなく小さいといえる。

 

 よって、初狩りが居たところで初心者や下手な人が被る勝率の減少は引き分けが発生したことによる減少よりも小さいといえる。

 

 初狩りが一人舞い降りた所で、他の29人に出る影響はかなり小さいのだ。

 

 


3.逆に上手い人の集団の中に下手な人が入るとどうなるか?

 

 今度は初狩りとは真逆のシチュエーションについて考えてみる。

 逆説的に「初狩りによる他29人への影響が少ないのであれば、逆に初心者が高Tier帯に出てもたいして影響はないのでは?」と言えるのかどうかという話だ。

 

 だがこれは先ほどの話とは大きく異なる部分がある。

 

 低Tier帯は腕前が初心者寄りに纏まっており、だからこそ初狩りが出て来る。
 それに対し、高Tier帯はちょい下手な人からめっちゃ上手い人まで、非常に幅広い腕前の人が戦場に現れるのである。

 

 XVMの色基準でいくと、低Tier帯は「赤・橙の中に2人くらい黄、たまに緑以上が居る」という纏まり具合なのに対し、高Tier帯は「橙から黄色が半分、緑が半分、青以上が居たりいなかったり」というくらい広い幅の人が平常的に存在している。

 

 その中に一人赤色を投入するとどうなるか、と言うともう御察しの通り。

 赤色は橙・黄色以上に一方的に蹂躙されかねず、実質全ての戦闘において14vs15を味方に強いてしまうのだ。

 

 特にTier10は弱点狙撃や課金弾の多用が必須になっており、それの実行は勿論、対策すらできてないと非常に簡単に0爆しかねないという点が低Tier帯との決定的な差になる。

 

 低・中Tier帯で一人が0爆するくらいでは全体への影響はそこまで大きいものではないだろう。だが、高Tier帯は戦況を見て判断して行動し、早々に敵を溶かすことができるような上手い人がうじゃうじゃ居る。

 そういう上手い人にとって下手な人はただの進撃への楔でしかなく、進行への障害にすらなりえない
 これは、"下手な人に限らず周りとの連携が切れている奴を見つけると早々に刈り取り、黄色だろうが緑色だろうが戦犯級の稼ぎに落とし込める判断が出来る人"の集団だからこそ言えるのである。

 

 

 なので総合勝率45%とかの人は高Tier帯の勝率が40%未満になることも普通にありえる。つまり

 

 高Tier帯は一人のせいで味方を負けに引っ張ってしまう確率が低Tier帯の比ではない

 

 

  これは初心者だろうが中級者だろうが、はたまた上級者でも普通に起こりうる出来事である。自分も「弱戦車にやられてやんのざーこざーこ!」って言えることもあれば「俺チ〇カスに…俺チ〇カスだったわ…」ってなる事もある

 しかし、初心者と下手な人は勝てるシチュエーションが殆ど"絶対勝てる約3割"の戦闘に全てを依存し、残りの七割は自分が負けを引っ張っているという事になりかねない。

 だから初心者が上手い人の集団に紛れ込むのは非常にリスキーであるといえる

 

 

 じゃあなんすか
 俺たち下手糞は高Tier帯いちゃいけないんですか(画像略)

 

 

 って言われたらこう提言させていただく。

 

 ダメとは言わんが痛い目見るのはお前やぞ

 

 


 

 さて、一度ここまで書いてきたことを纏めると

 

・"低Tier帯に上手い人が居る=初狩り"ではない
・ver1.9以降、初狩り自体が一部の戦車を除き難易度が大きく上がった
初狩りが居たところで他の29人への悪影響は少ない
・↑の逆も然りだが初心者側が圧倒的に辛くなる

 といった感じになる。それを踏まえて次の項へ行こう。

 


 

4. マッチングから一定層を排除することによる利益性、それを訴える正当性について

 

 見出しだけだとわかりにくいが、要するに「上手い人は上手い人だけとマッチし、初心者は初心者だけでマッチする」といった事をした場合どのような利益が出て、それにつく正当性はどういうものなのか、という事についてである。

 

 現状こういう事がWoTに導入されているのはランク戦集団戦のみ。集団戦はそもそもランダム戦とは全く形態が違うので除外する。

 

 ここまで文字ばっかというのもアレなので、ここからは皆の記憶の彼方にあるであろう昔流行ったコレを思い浮かべてもらいつつやろうと思う。

 

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「オタクは学校来んなよ」

 

1-1.初心者は上級者帯来んなよ

 

 これはランダム戦に関しては項3で出した結論がほぼ全てである。

 高Tier帯に居る初心者のことを個人的には「敵に来たらボーナスキャラ、味方に居たら利用材料」程度の存在にしか考えてないし、来る確率も五分五分。だから味方に居たせいで負けたとしても同じくらいそれのお陰で勝ってる、と思えば何一つ悪い感情は浮かばない。

 再度言うが、ランダム戦の高Tier帯に初心者が来ることは「ダメとは言わんが痛い目見るのはお前やぞ」というのが持論である。

 

 

 

 その一方でWoTには期間限定ながらランク戦が存在しており、それがレートを考慮したうえで初心者を排除したマッチングとなる。

 そもそもの対象層が上級者用なので、「初心者だけど参加したい!」というのは流石に身の程を知れって感じなのでスジは通らない。

 

 

 ランク戦はTier10のみで行うのだが、格下Tierが存在しなかったり、上手い人が集まって居たりでTier10を持っているくらい遊んでいるプレイヤーでも難易度が高い領域だ。そのうえ似たようなランクの人同士がマッチングするため、ランクが上がるごとに周囲の腕も上がっていく完全な実力社会といえる。(ところで予選システムの存在意義ってよくわからないんすけどアレって何のためにあるんすかね?)

 その結果、上に行くと本当に上手い人が多くを占める戦場で戦うことができるようになった。そのレベルまで到達できている人的にはランダム戦とはまた違った楽しみができたといえよう。その分ギスギスしやすくもなるけど

 

 これによって不利益を被る人は大して居ない。
 居るとしたらTier10を持っておりランク戦には参加できるが、初心者が居ない分相対的なレートが下位になってしまい、結果として食われる役になってしまう中級者であろう。
 それなりに腕があるためこういうマッチングでも稼げると思いがちだが、結局は初心者が居ない分食われる役になりうるため、稼げないケースが増えてストレスもマッハになる。なお自分も前回のランク戦では己の腕足らずのせいでこの食われ役になりまくってハゲた(自戒)

 

 だがこれに関しては正直自分の腕を呪えとしか言えない。

 

 そもそもランク戦は上級者向けのエンドコンテンツの一つ。参加は容易だがゲームモード自体が初心者・中級者を対象としていないともいえるため、中級者が割を食いやすいのも当然と言えば当然であろう。

 

 

 纏めると、現状のランク戦は「参加できる内の一部の層に不利益はあっても、排除された層には理不尽な不利益がない」ゲームモードであるといえる。
 そして、こういうコンテンツにおいて初心者を排除することは悪いことではないともいえる。

 排除される初心者層につく不利益といえば「報酬を取るための権利がない」という程度だが、そもそもボンズなどは中・上級者のみにが手に入れられる特別な要素なので諦めろ感がありますあります 

 

 


 

 

 話題が初狩りから思いっきり逸れまくったので話を戻していこう。

 

 こういうランク戦はよくあるPvPゲームだと通常のマッチングシステムの中に組み込まれている場合があり、この場合初心者は低ランク、上級者は高ランク自動で振り分けられる

 その点、WoTは上級者向けともいえるランク戦しか存在しない。ランダム戦のマッチングに腕前が考慮されていない点を考えると、初心者のみで構成される特別戦があってもおかしくないハズである。

 

 だがそれが無いのは何故か?特に皆が上手い人が低Tierに来ることを初狩りと言うのに、なぜそれから初心者を守るシステムがないのか?

 

 

 という点も不思議なところだ。そういう事について、そしてそれを提言する正当性についてここから書き連ねていこうと思う。

 

1-2. 「上級者は初心者帯来んなよ」

 

 基本的にゲームは初心者にはそれなりに易しくなくてはいけない。
 そういう意味で言うと、初心者のみの特別戦は理にかなったものだと自分は思う。

 プレイヤー人数的に厳しいのでなければ、これを作ることは可能であろう。
 そしてこういうモノの存在について流石に100%反対の人は殆どいないだろう。

 

 この初心者のみの特別戦を作る事に関しては初心者が提言しようが上級者が提言しようがどのプレイヤーから見ても正当性があるハズだ。

 

 

 これを作るメリットは「既存アカウントの初狩りや上級者が消える」「一人に稼ぎが集中しづらくなり、等しく戦果が分配されうる」「中・高Tier帯に行く前にある程度の下積みが可能」といったところだろうか。

 

 一つずつ見ていくと、「既存アカウントの初狩りや上級者が消える」は当然である。

 先述したとおり初狩りが混じったところで初心者に与える損害は大したことないためその点のメリットとしては薄めだが、「訳もわからず一方的に蹂躙される」というケースが発生することは大きく減る。
 これは初心者的にはゲームパフォーマンスが向上することに繋がるため、己のわかる範疇で戦えるという点はとても大きい。

 

 これにより「一人に稼ぎが集中しづらくなり、等しく戦果が分配されうる」ということも言える。

 自分が稼げているかどうか、という目安に「効力射が取れているか」を掲げている人は多いと思う。
 自分の耐久より多くダメージを取った、というのは初心者としても一つ自信になるだろう。ランダム戦と比べてその回数を全体的に底上げできるため、これも初心者なゲームパフォーマンスの向上にもつながってくるハズだ。

 

 最後の「中・高Tier帯に行く前にある程度の下積みが可能」は言わずもがな。

 

 

 

 これを作るデメリットとして、「ランダム戦の低Tier帯が過疎る」「リロール初狩りが多く発生しかねない」という点がある。

 

 やはり人は高Tier帯を目指したくなるもの。低Tier帯は開発に必要な経験値が高Tier帯の比ではないため、戦闘数はそちらに集中しがちになっていく。

 そのため、このような初心者帯システムを作るとランダム戦の低Tier帯が過疎るという問題が発生する。

 しかもマッチング時間が伸びて更に人が集まらなくなるという悪循環になることが容易に想像できる。少なくともASIA鯖は既に低Tier帯のマッチング時間が長いので、他鯖もそうであるならこの理由で導入できないのは普通にありえそうな話である。

 

 

 一方、リロール初狩りが多く発生しかねない点も見逃せない。まぁ1の項で描いた通りの考えで湧いて来る人が居るのは仕方ないと思うが。

 ただ、これはランダム戦の戦績が最重要視されている現状、ランク戦と同じように戦績そのものを分けてしまうことで解消できるハズだ。これにより少なくとも勝率・レートのパディングは出来なくなる。

 そのほか報酬自体を「初心者的には旨いがヘビーユーザー的にはさほど美味しくないレベル」まで落としてしまうことで中・上級者的な魅力を減らすなども可能であろう。

 この問題はこういった対策を施せば十分回避できると思われる。純粋に初心者殺すのタノシーって人は弾けないけど…

 

 

 さて、ここまでは初心者のみの特別戦の話であった。ではランダム戦はどうなのか。

 

 これも既に答えが出ており、先ほど言及したように「初狩りは全体として見ると大きな悪影響を与えない」「しかも低Tier帯で勝率を稼ぐのが今までより難しくなった」という点から、そもそも初狩りだと言って上級者を低Tier帯から糾弾することはスジが通りにくい

 初心者のみの集団戦から上級者は排除されるべき、という意見は欠点こそあれほぼ100%正当。
 しかし、ランダム戦で上級者を低Tier帯から排除すべき、という意見は全体を見るとそこまで説得力が無いため正当性は低いと自分は主張したい。

 

 


 

 ここからが一番大事なことである。

 一番最初の前置きにあった通り、基本的に人が初狩りを糾弾しようとするのは「低Tier帯で出て、上手い人によって負かされた時」や「上手い人による低Tier帯の動画を見た時」だと思う。

 そりゃそーだ、低Tier帯に上級者がいるせいで負けた、上級者が初心者を負かしているプレイを見た、って時以外は批判する側にとって初狩りは実害になりえないからだ。

 

 では、

 低Tier帯だからって上級者や初狩りに勝たせてもらった時にそいつを批判する気になるか?

 

 

 もし初心者のことを思って勝敗問わずこの批判を常に主張しているなら、自分が2の項で上げた持論についての意見が聞きたい。
 一回だけ敵に上級者がついてそれにキャリーされて負けたとしても、それが味方についてキャリーしてもらえる可能性がほぼ等しく存在している事を考えれば、Tierを問わず上級者が居ることによる利益:不利益の差は非常に少ない。これを考慮したうえの主張なのか?と。

 

 それに、中・高Tier帯でも強い人が試合をキャリーして、自分が大したことしてないのに勝つ/負けることは誰でもあるだろう。

 結局上手い人はTier帯がどこであろうがキャリーする力がある。自分以下の人を食うという点では初狩りも上手い人も全く同じ。

 

 

 じゃあ、高Tier帯で上手い人に負かされた時にそいつを批判する気になるか???

 普通なる訳ねぇだろ?????

 

 

 いいか、上手い人が低Tier帯に来ることを初狩りだと批判する奴らよく聞け 

 

 

 お前ら上手い人がいろんな車両で楽しもうとしてるのを初心者を盾に批判してんだよ
 自分が稼げなくなるからってそういう主張はおかしくないか?????

 

 

 あと同じく低Tier帯にいる中級者で上手い人を初狩りだと批判する奴

 

 

 自分も初狩りできるポテンシャルがあるのにそれを棚に上げて何言ってんだ?????

 

 


 

 …という訳で初狩りについての話はこれにて終わりにする。

 とにかく、上手い人全員が初狩りしたいために低Tier帯に居る訳じゃあない。それを勝手に初狩りだと騒いで自分の失敗や敗因を棚に上げたりするのはやめろという話でした。

 

 反論・感想あればご自由に。